【開催報告】NPO運営基盤強化セミナー(第4回~第6回)を開催しました!
NPO活動交流センターでは、県内NPOのニーズや支援の必要性に合わせた「NPO運営基盤強化セミナー」を開催しています。令和6年度に開催した全6回のうちの第4回~第6回の様子を紹介します。
第4回「寄付募集のススメ ~多様な財源から寄付に着目し、戦略を考えよう~」
2024年12月3日(火)、一般社団法人カーシェアリング協会 事業部長の石渡賢大さんを講師に、「寄付募集のススメ ~多様な財源から寄付に着目し、戦略を考えよう~」を開催しました。
前半の講演では、「ファンドレイジングの概要、資金、手法」「寄付集めを実践するときに意識していること」などについてご講義いただきました。
資金調達と直訳されるファンドレイジングですが、大事な考え方として、「社会を変えるために行う事業に共感してくれる仲間を集める活動」であり、単なる資金調達ではなく、また、施しを受ける活動でもないというお話が印象的でした。
一概に「寄付」と言っても、クラウドファンディング(キャンペーン型、プロジェクト型…等)、イベント、もったいない系寄付、ふるさと納税、法人寄付など様々なカタチがあり、まずは、「なぜ寄付を集めるのか?その使途は明確か?」を団体内で決めておくことが大事です。その他にも、「団体の活動を通じて社会が良くなるストーリーが見えるか」「いくらで何ができるのかがわかるか」「金額の根拠はあるか」なども大切なポイントになってきます。
後半では、石渡さんにファシリテーションしていただきながら、岩手県内での事例として、認定NPO法人桜ライン311代表理事の岡本翔馬さん、認定NPO法人もりねこ理事長の工藤幸恵さんにも登壇いただきました。
団体や活動の紹介に併せて「具体的な寄付募集の工夫・苦労話」「認定NPO法人を取得するときの苦労、取得した効果・成果」など、出来ていることだけではなく、これまでの失敗からの学び、大切にしている軸となる部分についてもお話しいただきました。
参加者は24名(来場:7名、オンライン:17名)で、「寄付や組織運営など、考え方の整理ができて大変良かった。寄付の考え方、大切にしているところ、組織体制など具体的な内容で、自身や組織に置き換えて考えることができそうです。」といった感想をいただきました。
第5回「NPO活動に役立つ「マーケティング入門」~提案する価値を考える~」
2月4日(火)、株式会社ビーアイシーピー・ハナレ代表取締役の伊藤美希子さんを講師に、「マーケティングの基礎知識」や「NPOにとってのマーケティング」などの講義と個人でのワークを行いました。
講義では、以下の内容についてお話しいただきました。
・マーケティングとは市場創造であり、「価値(あるもの)を交換する関係を創る」ことである。
・価値あるものを交換する関係を創るためには、価値を明確にして伝えることが重要。
・バリュープロポジションとは価値提案。
・①顧客が望んでいる欲求を ②他者がまだ充足しておらず ③自社の資源で充足できれば、市場で独自のポジションを確立することができる。
・ニーズとは、表出化・顕在化している欲求のことであり、大体の人が言語化している者が多い。一方、大体の人が言語化できておらず、聞いても簡単には出てこない欲求を「インサイト」と呼ぶ。ここを新たに発見して充足できると、新しく大きな市場となる可能性が高い。
・NPOの顧客は、提供する価値やサービスを獲得する「受益者」、資金援助などNPOの活動を支える「支援者」の2種類あり、双方に対するマーケティングがNPOの活動においては非常に重要。
後半のワークでは、講義の内容を踏まえて、「自社の製品・サービスのバリュープロポジションを考える」ワークを個人で行い、その後数名の方から全体へ共有しました。
参加者は30名(来場:8名、オンライン:22名)で、「なかなかマーケティングを学ぶ機会がなかったので、とても勉強になりました。初心者でもわかりやすく解説いただき良かったです!「NPO×マーケティング」と狭いテーマ設定も、ありがたかったです。」等の感想をいただきました。
第6回「NPO法人の事務処理~役員変更に関する報告手続を中心に~」
2月18日(火) 、司法書士の小山田泰彦さんを講師に、役員変更に伴う登記手続などを中心に、「NPO法人の事務処理」を開催しました。
本講座は、奥州市との共催で、いつものハイブリッド開催に加え、奥州会場を設置し、奥州市の団体については、奥州会場に参集する形で実施しました。
小山田さんからは、登記の必要性について様々な法令を基に解説いただきました。
例えば、
・登記に係る事項(※)に変更が生じた場合、変更してから2週間以内に登記をしなければならない。
※目的及び業務、名称、事務所の所在場所、代表権を有する者の氏名・住所及び資格、存続期間または解散の事由を定めたときはその期間又は事由 等
・理事長や代表理事のように、法人を代表する旨の定款の定めがある場合は、理事長等に選定された理事のみを「理事」の資格で登記する。
※理事の各自が法人を代表する場合には、その全ての理事を登記する必要があります。
また、定款に沿って、総会や理事会の開催、それに伴う議事録について、役員変更についてなどについても詳しくご説明いただきました。
上記の一例として、理事会議事録署名人の印鑑証明書について、理事会の議長を理事長とし、議長としての押印を法人の代表印にすることによって、議事録署名人の印鑑証明書の提出は不要になる、という、事務作業を軽減できるお話もいただきました。
参加者は34名(盛岡会場:3名、奥州会場:7名、オンライン:24名)で、「登記手続きをする際の注意点や総会議事録の作成方法等について、とてもわかりやすくご説明いただけたので、非常に勉強になりました。」などの感想をいただきました。
来年度もNPOの運営基盤強化に向けた講座を開催します。
確定次第、情報を公開していきますので、みなさまの活動推進にぜひご活用ください。